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渡辺一史著 こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち 感想! 前編

こんにちは!

 

今回は昨年12月に映画した映画「こんな夜更けにバナナかよ」の原作を読んだので、その感想です。

 

 映画の感想はこちら↓

rimokongetao.hatenablog.com

 

この本について、まずは本自体の感想を前編として書きたいと思います。(後編は映画と原作本の相違点についてです)

 

さて、感想を一言で表すと、「読み応えあり!真の主役はボランティア!」と言ったところですかね。

 

今回下駄夫が読んだのはハードカバー版↓(文庫版ではなく)で、ページ数は460ページ。

 

 

 

 

なので、かなり読みごたえはありましたね。

ただ、会話文も多く、また文体も堅苦しくないので、(もちろん内容に引き込まれているのもありますね)意外とすいすい読むことができます。

 

内容としては、筋ジス患者・鹿野靖明と、彼を支えるボランティアの日々を観察したものですね。

 

この本は、常に鹿野靖明を話題の中心として、話題がどんどん広がっていきます。

もちろん鹿野の幼少期・少年期・青年期の話も詳しく書かれていますが、施設で仲良くなった鹿野の友人我妻、鹿野も加入していた障がい者グループの主催者や関係者、鹿野のボランティアたちのそれぞれの、ボランティア参加の動機、半生、やめた後の人生などなど。

つまりこの本は、鹿野を取り巻く人々を描き、彼らに鹿野について語ってもらい、彼らの生の証言から、「鹿野靖明」という人物の人となりを描き出そうとしている、そんな感じがしました。

 

そして、そのチャレンジは成功した、といっていいでしょう。

 

この本をよんでわかるのは、鹿野靖明というのは、とんでもなく「わがまま」だったということ(笑)

 

でもこのわがままである、ということは当たり前の話で、彼は自由に自分の体を動かすことができないのですから、なんでもボランティアはじめ、いろんな人に頼んでやってもらわなきゃいけないわけです。

 

映画では「命がけのわがまま」という言葉がありましたが、わがままを言わなければ、一日も生きていけないわけです。

ですから、そりゃあ健常者からみれば「わがまま」に見えるわけです。

 

ただ、そんな「わがまま」な彼の周りは笑いが絶えない。

 

それは、鹿野とボランティアが作り上げていった、努力の証であることが分かります。

 

この本について語りたいことは、まだまだいっぱいあります。

例えば、障がい者を取り巻く事柄についての問題提起。

健常者とは?障がい者とは?その線引きは?

ボランティアに向き合う正しい姿勢とは?

などなどです。

 

ただこれらは、ひとつひとつがとても重要な問題であり、自分の中でもまだ答えがはっきりとは見つかっていないので、深く述べるのは避けたいと思います。

 

ただ最後に、この本は、そういった問題について考えさせる熱量がある作品だ、ということはしっかりと述べておきたいと思います。