こんにちは!
今回は下駄夫の「オールタイムベスト映画」の一つ「ファイトクラブ」をご紹介します。
監督・デヴィッド・フィンチャー
脚本 ・ジム・ウールス
出演 エドワード・ノートン/ ブラッド・ピット/ ヘレナ・ボナム=カーターなど
この映画は現状に不満がある男性が見たらものすごくはまると思います。
逆にそれ以外の人からしたら、「何だこれ?」「不愉快だ!」となる映画かもしれません。
すごく好き嫌いが別れる映画というか。
まず監督がデヴィッド・フィンチャーという時点で、割と人を選ぶかなあ、と(笑)
デヴィッド・フィンチャーといえば「セブン」「ベンジャミンバトン」などの一風変わった映画を撮っている監督です。
彼の作風はすごく淡々としているというか、あまり音楽や効果音を使わずにじっくりと描いていくタイプ。
正直下駄夫は、彼の作品があまり得意ではありません(笑)
でも「ファイトクラブ」だけは別!
彼の作風とダークで暴力的な内容がベストマッチ!
本当にすごい映画です。
ここからは盛大にネタバレしています!
注意です!
よろしいでしょうか。
この映画は一言で言うと「テロ映画」です。
現状に不満がある主人公「僕」が、ミニマリストでアナーキストで、かつテロリストの男「タイラー」と出会い、暴力や社会の闇に囚われていく、という物語。
このブラッドピッド演じる「タイラー」がめちゃくちゃかっこいいんですよ!
男が憧れる男というか。
自分の信念をしっかりと持ち、未来のビジョンに向かって邁進する。
他人にも自分にも厳しくストイック。
だけど嫌な奴というわけではなく・・。
もうね、しびれるんですよ、とにかく。
そして彼の、過激で見も蓋もないけど、真実をついた発言の数々。
その言葉が、社会や世間、つまりは現実世界に不満を持った、若き日の下駄夫青年の心にばっこし刺さりましたね(笑)
なんかね、映画見てて
「やばい、人生観変わるかも。この映画見終わったら俺、デモとかはじめちゃうかも」
て思ったのは、(現時点では)この映画だけですね。
「この腐りきった世界を変革せねばならない!」みたいな。
安保闘争か(笑)
でも、それくらい心がめちゃくちゃ揺さぶられたというか。
タイラーと同じくらい、この映画自体がすごく優秀なアジテーターなんですよね。
もうそんな感じでやられっぱなしの下駄夫青年を、更に大興奮させたのがラストシーン。
ラストでは、主人公の「僕」は、ヒロインであるマーラーと再会し、高層ビルの部屋の中で幸せなキスをし、手を握り合い、映画は終了します。
そして、その高層ビルの窓の外では、タイラーのテロにより、爆発し、崩壊していく高層ビル群が広がっています。
このラストが本当に素晴らしすぎるんですよ!!!!
つまり、主人公たちが取っている行動というのは、すごくハリウッド的なハッピーエンドなわけです。
結局主人公は思い人と結ばれたんですから。
でも、その一方で、窓の外ではいわゆる「エスタブリッシュ層」の象徴である高層ビルが崩れていく。破壊されてく。
しかもそれをしているのはタイラー(=僕)。
結局彼のテロは成功したわけです。
ここからおそらく世界は大混乱に陥り、現状の支配・経済・政治体制は変わっていくことでしょう。
だとすれば、それは「革命ののろし」ともいえる。
この個人にとってのハッピーエンドと、世界にとっての終わりの始まりを、一つの場面に収めてみせるという、これは本当に素晴らしいセンス。
このシーンは、ものすごい皮肉であり、同時にゾッとするほど美しい光景でもある。
しかも台詞で説明するということをせず、ビジュアルだけで表現するスタイリッシュさ。
もう本当にこのシーンを始めてみたとき、冗談じゃなく叫び出したいほど、めちゃくちゃ興奮しました。
今、俺が求めている映画はこれだったんだ!
まさにそう思いました。
要するにすごく幸福な出会い方をしたと思うんです。
圧倒的に持たざるものだった当時の(今もですが笑)下駄夫青年にとっては、「成功者たちによってつくらっれた世界をテロによって打開する・破壊するビジョンを持った男が戦い、それが成功する」というのは、ものすごく胸がスッとするというか。
ざまあみやがれっていう(笑)
ちょっと色々危ないですね(笑)
果たして今見ても同じ気持ちになれるかは分かりませんが、当時の下駄夫青年にとってはすごく「ハマった」映画でした。
是非!