こんにちは!
今回は漫画家・東村アキコさんの自伝萬画「かくかくしかじか」全5巻の感想です。
東村アキコさんと言えば育児漫画「ママはテンパリスト」が有名ですよね。
この漫画はそんな彼女が高校時代、美大受験のために通った絵画教室で出会った型破りな画家日高先生との出会いから、金沢大学時代、プータロ―、会社員、そして漫画家デビューまでを、先生とのエピソードを中心に描いたものです。
これが彼女のギャグっぽいセンスと少女漫画的な叙情のセンスがミックスされていて、非常に面白かった!
また自伝だけあって、東村アキコさんの日高先生への尊敬、恐れ、そしてなにより好意がさく裂しています。
なぜここまで、今漫画を描いている彼女が日高先生への想いを募らせているのか、それは最終巻でわかります。
この漫画はさらに、何者でもない、でも何者かになれると疑わないクリエーター志望の若者が読んだら、非常に身につまされるような内容でもあります。
だらだらしている暇があるならなんかやれ!(笑)
話は戻りますがこの漫画のメインとなる日高先生が本当に漫画みたいな人なんですよ。
ヤンキーみたいな見た目で、竹刀で生徒をしばき(笑)、暴言を吐きまくり、泣かせ、でも絵への愛情はものすごく、果てしなく一本気で、どこか憎めない、不思議な人物。
東村アキコさんと日高先生、まさに師匠と弟子のこの二人のちょっと笑えてかなり切ない物語、お勧めです!
最後にこの漫画を象徴するふたつの台詞をご紹介して終わりにしましょう。
「 先生の世界は黒か白しか存在しないのだから、その私の薄いグレーは先生にとっては真っ白だって事くらい、あの頃の私にだってわかっていたはずなのに」
一本気で人を疑うということを知らない先生。
その先生に言った小さな嘘が、後々彼女を苦しめるのです。
結局私は教室をつがなかったと、先生を助けなかったと、そういうひどい話なんです これは。
この言葉の意味を、是非本編で確かめていただきたい!