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差別はいつしか祟りを生む 映画「犬鳴村」 感想

こんにちは!

 

今回は映画「犬鳴村」の感想です。

 

犬鳴村〈小説版〉 (竹書房文庫)

犬鳴村〈小説版〉 (竹書房文庫)

 

 

監督:清水崇
脚本:保坂大輔 清水崇 企画プロデュース:紀伊宗之

 

あらすじはこんな感じ↓

 ―あなたは日本最凶の心霊スポット犬鳴村を知っていますか?


九州に実在する最恐の心霊スポット旧犬鳴トンネル。その近くには日本政府の統治が及ばない集落“犬鳴村”があり、そこに立ち入った者は決して戻れないという、都市伝説がある。書き込みサイトやSNSには村周辺を訪れた恐怖体験が数多く寄せられている。
犬鳴村は、旧犬鳴トンネルの先にあると言われているが、現在はダムが建設され、日本地図にその痕跡は残っていない。これは単なる都市伝説なのか、真実なのか…決して触れてはいけない“犬鳴村”が、ホラー映画の第一人者・清水崇によって禁断の映画化!身も凍る恐怖と戦慄、古より続く血の祝祭からあなたは逃げられない。

ストーリー

臨床心理士の森田奏の周りで突如、奇妙な出来事が起こり始める。
「わんこがねぇやに ふたしちゃろ~♪」
奇妙なわらべ歌を口ずさみ、おかしくなった女性、行方不明になった兄弟、そして繰り返される不可解な変死…。
それらの共通点は心霊スポット【犬鳴トンネル】だった。
「トンネルを抜けた先に村があって、そこで××を見た…」突然死した女性が死の直前に残したこの言葉は、一体どんな意味なのか?
全ての謎を突き止めるため、奏は犬鳴トンネルに向かう。
しかしその先には、決して踏み込んではいけない、驚愕の真相があった…!

 

https://www.toei.co.jp/movie/details/1214589_951.html 2020/2/10閲覧

 

 

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血筋、家父長制、家柄、土地・・・・。
そういった日本の陰湿な因習、この国の暗部をえぐりとるような映画でしたね。

 

それを象徴するのが犬鳴トンネル。

あちら(=霊界)とこちら(=現世)をつなぐ、不可解なトンネル。

 

そして同時にトンネルに施された不完全なふた。

これはかつてあった差別の隠蔽の歴史であり、象徴なわけですが、これが少し空いてる(実際になぜか人が入れるようになっている)というのが重要。

 

全てを、完全には隠蔽しきれない。

 

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ほんの少しの隙間から、真実があふれてくる。

そして同時に、あちら側から、霊も・・・。

 

この映画の霊ってのはこう、じめりと、ぬるりと、べちょっと恐いとうか。
恐怖がまとわりついてくる感じ。

 

結局のところ、今回の映画で起きる怪奇現象(狂って放尿の末、投身自殺、溺死して死亡等々)というのは、犬鳴村という「非差別部落」に端を発するわけです。

 

そもそもなぜ差別されていたかというと、犬を殺して生活していたから。

で、この村が電力会社や国家の思惑により懐柔され、村人は殺され、ダムの底に沈められる

そして、その首謀者というのが主人公のご先祖様。
だから徹底的に主人公一家は不幸な目に会うわけですね。

 

過去の出来事をなかったことにしようとする人たちと、それを暴こうとする魂たち。

その両方の血を受け継いでいる(父がダム作った側、母が犬鳴村)主人公たち。

そして、それに巻き込まれて殺される周囲の人。

 

この様がまた恐いんですよ
じとりじとりと近づいてくる恐怖
じわりじわりと追い詰められていく絶望
そして急にくるショック表現

これこそホラーですよ。

 

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B級ホラーだと幽霊出てきた!キャー恐い!あとはたいして怖くないという即物的なホラー表現になりがちですが、今昨は全編にわたって「いやーな感じ」というか薄気味悪いというか。


本当にじめーって感じなんですよね。
特にピックアップされない部分になにげに幽霊が写り混んでいたり、変な影が入り込んでいたり。

そして全体を貫く負のオーラ。
この怖さ、というか薄気味悪さ。


これはまさに心霊スポットにいったときの怖さじゃないでしょうかね。

(題材になった犬鳴トンネルも心霊スポットですし)

 

   

 

心霊スポットってもう、その「場」がこわいじゃないですか。
具体的に霊が出る出ないに関わらず、その場の雰囲気が、なーんか気味悪いなっていう。

その空気がこの映画には充満していますね。

 

ホラー映画の中に、深いテーマ性を持った、非常に良い映画でした!!