こんにちは!
今回は漫画「ぱいどん」の感想です。
あらすじはこんな感じ↓
「TEZUKA2020」とは、AI技術と人間のコラボレーションで手塚治虫の「新作」漫画の制作に挑むプロジェクトだ。2019年10月に東芝メモリ株式会社から社名変更したキオクシア株式会社のブランドキャンペーン「#世界新記憶」第1弾として企画された。
手塚治虫の漫画を元データとして、プロット(漫画の基本的な構成要素)とキャラクター原案をAIが自動生成し、その言わば「漫画のタネ」をインスピレーションのソースとして人間がストーリーを練り、ネームを作って漫画を描いた。一部の下絵作成はロボットアームで行なっている。
AIと人間のコラボで制作された漫画のタイトルは『ぱいどん』。「2030年の東京で、進んだ管理社会に背を向ける男ぱいどん。記憶をなくしたホームレスだが、小鳥ロボットのアポロとともに事件に解決すべく立ち向かう」というストーリーの漫画で、講談社・週刊「モーニング」13号(2月27日発売号)に前編が掲載。
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1237417.html 2020/3/2閲覧
要するに「AIに手塚治虫の漫画を学習させて作られた漫画」がこの「ぱいどん」なわけですが、正直一番最初に読み終わって思ったのは「この漫画をどう感じればいいんだ?」ということ。
この漫画には評価軸が三つあると思うんですよ。
ひとつめは「手塚治虫の新作」として。
ふたつめは「AIの書いた手塚治虫漫画」として。
三つめは「単純に漫画」として。
で、それぞれの評価軸からこの漫画を考えると、
・「手塚治虫の新作」としては、物足りない。
・「AIの書いた手塚治虫漫画」としては、手塚治虫「っぽい」とは思う。
・「単純に漫画」としては、そんなに面白くない。
とこういう感想を抱きました。
なぜこういう感想を持つに至ったのか、実はこの三つ根っこは同じだと思うんです。
この漫画、絵柄とか筋運びとかそういう表層的な部分では「手塚治虫っぽい」とは思うんです。
でも「手塚治虫らしさ」はないと思う。
なぜか?
それは、もし手塚治虫が今も生きていてこの2020年に漫画を描いたなら、もっと「今風」になると思うからです。
手塚治虫って若手に対抗意識を燃やす(嫉妬するともいう笑)ことで有名じゃないですか。
だからもし手塚治虫が今漫画を描くなら、「ワンピース」とか「進撃の巨人」とかのエッセンスを惜しみなく投入すると思うんです。
具体的には、意味深な一話から初めて、伏線張り巡らせるみたいな、そういう「時流に合った漫画」を描き上げると思うんですよ。
そういうあくなき革新性というか探求心が「手塚治虫らしさ」だと思うんです。
そういう意味で「手塚治虫の新作」と考えると「物足りない」なあと思うんですよ。
「古臭い」んだもん。
だって考えて下さいよ。
今回のAIは「手塚治虫」のことは学習したかもしれないけど、「今の漫画界」のことは学習してないでしょ。
もし今、手塚治虫が新作を書くなら、過去の自分の漫画より今ヒットしている漫画を分析すると思いますけどね。
だから、なんというんですかね、同人誌感というか。
「手塚治虫ってこんな感じだよね」というところから一歩も踏み出していない。
漫画界に「手塚タッチ」で漫画をかける人間なんて山ほどいますし(田中圭一とか笑)、これだったら手塚ファンでも書けそうというか(笑)
「わざわざ金かけてAIに書かせるほどのもんか?」と思ってしまったのが正直なところですね(笑)