こんにちは!
今回は映画「キャラクター」の感想です。
あらすじ↓
もしも、売れない漫画家が殺人犯の顔を見てしまったら?
しかも、その顔を”キャラクター“化して漫画を描いて売れてしまったとしたら?
未熟な漫画家が出会った、美しき異常者。
相まみえるはずのない二人が出会ったとき、おぞましい連続殺人事件へと発展する-
https://www.amazon.co.jp/dp/B094CSP2RQ?tag=hatena-22&linkCode=osi&th=1&psc=1 2021/6/18閲覧
脚本・長崎尚志。
この点に惹かれて劇場に見に行った映画です。
長崎さんと言えば、漫画家・浦沢直樹と組み「MONSTER」「20世紀少年」「ビリーバット」、そして現在連載中の「あさドラ!」を手掛ける漫画原作者です。
その彼が「漫画家×殺人鬼」という映画の脚本を担当するとなれば、これは期待してしまうわけですよ!!
と、かなり期待して見に行ったんですが、結果としてはこの映画、その脚本がなかなかのことになっていた映画でした・・・。
序盤は良かったんです。
彼が手掛ける漫画もそう。
序盤とか最初の設定はめちゃくちゃ面白そうなんですよね。
ただやっぱり畳むのがね・・・。
そしていつもなら謎を引っ張りに引っ張って盛り上がる中盤も、今回に関しては不発。
というかこの映画、犯人の正体が最初から分かってるので、特に物語を引っ張っていく謎がないんですよね。
だから中盤ははっきり言って相当グダグタになっていた印象です。
また脚本家が映画畑の人ではないからでしょうが、普通の映画とは展開がかなりずらしてあるので、良くない意味で「どうなるの・・・これ?」となってしまうんですよね。
まあもっと言えば「どうにかなるのか?この映画」というかね。
全然軸が見えてこないんですよね・・・。
ただこの映画がそんな状態の脚本でもなんとかなったのは、監督の演出力によるところが大きいのだと思います。
今回監督をした永井聡さん、良かった!
個人的にすごく感心した演出が二つあって、一つ目は菅田将暉が実家に帰るシーン。
ここでまず菅田将暉が仏壇に手を合わせるシーンが挟み込まれ、家族の団欒に移る。
ですが、久しぶりに家族に会うのに菅田将暉の居心地が悪そうな様子。
ここでまず一つ目の違和感。
そして二つ目、父親は菅田将暉を呼び捨てにするのに、母親はなぜか「君」付けで呼ぶんですよね。
しかも愛称とか溺愛しすぎてゆえの「君」付けではないニュアンスで。
ここでちょっと考えて観客は気づくわけです。
「あ、そうか。菅田将暉の本当のお母さんは既に死んでいて、今いるお母さんは父親の再婚相手なのか!」と。
しかもここのさりげない伏線が、終盤の展開に活きてくる。
同じような素晴らしい演出がもう一つあって、それはフカセと菅田将暉、高畑充希が駐車場で出会うシーン。
この前に高畑充希が「男の子か、女の子か。びっくりさせたいから言わない」と言うんですね。
で、その後にフカセが「四人家族」というのをやけに強調し、彼が殺したがっているのは「四人家族」であることがわかります。
ここでまた気づくわけですよ。
「あれ?もしかして双子なんじゃない?」と。
そう、実はこの予感も正解。
双子だからこそ最後フカセは尊敬する菅田将暉を殺すに至るわけなんですが、ここで観客にこれから起きる不吉な事態を予見させるわけなんですよね。
そんな感じで細かいながらも良い演出が多かったのは感心しましたし、この映画、監督がうまかったから救われたな、とも思いましたね(笑)
ただまあ、明らかにこの映画に出てくる警察は無能すぎるんですけどね(笑)
なんで漫画のキャラクターにそっくりなやつが街を出歩いてるのに見つけられないんだよ!とか、頭弱いやつがそんなに長期間逃げられるか?とか、もっと先手先手で手を打っていけよ!とか(笑)
そこら辺の粗はさすがにカバーできてなかったみたいですけどね。
あと、個人的に今回の菅田将暉の演技が全体的に気になりましたね。
漫画家ってそんなんじゃなくない?っていうか、ちょっとこの映画のトーン、ほかの人の演技と熱量が合ってないというか。
菅田将暉は上手い役者なので、ここは監督の演出ミスでしょうかね?
そんな感じで、面白くなくはなかったんですが、色々と気になるところが多くもある映画でした!!!
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