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映画「男はつらいよ 50 お帰り寅さん」は「崖の上のポニョ」である

こんにちは!

 

今回は映画「男はつらいよ 50 お帰り寅さん」の感想です。

 

 

あらすじ↓

 小説家の満男(吉岡秀隆)は中学3年生の娘と二人暮らし。妻の七回忌の法要で柴又の実家を久々に訪れ、母・さくら(倍賞千恵子)、父・博(前田吟)、昔から付き合いのある人々と昔話に花を咲かす。それは、騒々しくて楽しかった、伯父・寅次郎(渥美清)との日々。いつも味方でいてくれた寅さんに長い間会えず、大人になった満男の心には大きな穴が空いていた。
そんなある日、書店で行ったサイン会で満男は、初恋の人・イズミ(後藤久美子)と偶然再会する。二人は寅さんの昔の恋人・リリー(浅丘ルリ子)のもとを訪れるが、そこでリリーから、寅さんの思いがけない過去を聞かされ・・・

 

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主演が死んでいるのにまだ主演作が作られる。

まるで幽霊のような話ですよね。

そう、この映画はまるで怪談のような映画でした。

僕はこの映画、見ていて非常に怖かったです。

 

まず僕自身の「寅さん」シリーズに対するスタンスを書くと、一応全作見ています。

見ていますが、何度も繰り返し見る、というほどのファンでもなければ、どの作品は何作目でヒロインは誰でロケ地はどこで・・・と言ったことも把握していません。

 

   

 

この映画についても、見る前に全作もう一度見直すとか、関連書籍を読むとか、そういう「血中寅さん濃度」を上げる作業は一切せず、あくまでも一本の映画として鑑賞しました。

その結果の感想は、冒頭に書いた通り「怖い」の一言。

決して霊が出てくるわけでもないし、実はうっかり幽霊が写り込んじゃいました!とかそういうことがあったわけでもない。

でも、非常にこの映画は怖かった。

 

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なぜか?

それは全編に「死」のイメージが強烈に漂っているから、です。

 

まずこの映画、主要登場人物の平均年齢が恐ろしく高い。

新キャラである女子高生は一人いるものの、それ以外はシリーズのメインキャストが続投しているため、言っちゃ悪いですがおじさんとおばさんとじじいとばばあしか出てきません。

そして過去の作品では若々しく元気だった人々が、今はすっかり老人となり、活気もなく、ただ漫然と日々を生きている。

リアルっちゃリアルなのでしょうが、あまりにもそこには「未来」がない。

 

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もっと深読みすれば、この映画は「少子高齢化の恐怖」を見事に体現しているといえるかもしれません。

活気をうしない、老人ばかりになり、過去の定番ネタをいまだにこすり続け、楽しいのは過去の回想ばかり。

そう、この映画には「未来」もなければ「新しさ」もない

 

今までの疑問に答えも示さず、結局何も解決せず、いまだに物語は前に進まない。

すべてを先延ばしにし、何も決まらないこの国を反映しているかのようです。

と、話は大きくなりましたが、映画に関して言っても、ギャグは昭和レベルの古臭いものでまったく笑えない。

新規ゲストも寅さんシリーズのファンを連れてきてるだけ。

冒頭の夢シーンも意味が分からず、桑田佳祐歌唱シーンに至っては、もはや「正気か?山田監督」と問いたくすらなる。

誰か止めてやれよ!!!!(笑)

 

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そもそも結局主演であり、タイトルに名前もでっかく出ている寅さんは出てきもしなかければ、生きているのか死んでいるのかもわからない。

とはいえ演じる渥美清さんはとっくに死んでいるわけで、現代の寅さんなど描けるわけではない。

そういった事情を知っているからか、まるでこの映画自体が「既に死んでいる人を生きていると言い張る狂気の人たちの群像劇」にしか見えず、それが冒頭に書いたような「怖い」「死のイメージ」に繋がるのかもしれません。

 

そしてタイトルにもあるように、僕はこの映画を見ている最中強くひとつの作品を想起していました。

それが崖の上のポニョです。

これも強烈に全編に死のイメージが漂っていて、とても怖かった。

 

どちらもかつて素晴らしい映画を作ってきた人が老人になって製作したもの、という共通点がありますね(笑)

これは偶然でしょうか?

 

あと、個人的にすごく気になったのは「笑えない」ということ。

寅さんシリーズに自分が求めているのは「笑って泣けて感動して」というわかりやすいヒューマニズムなわけですが、この映画にはどれもなく、そういう意味でも「男はつらいよ」シリーズとしてもがっかりでした。

 

まあはっきり言って、これは相当な珍映画というか、謎映画だと思いますよ?(笑)

 

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