こんにちは!
今回は鈴木光司作「ループ」の感想です。
この小説は貞子は(一応)出てきますが、ホラー小説ではありません。
なのでまったく怖くありませんし、そもそもそういう意図では書かれてもいない。
これはリングシリーズ三作目の作品で、現時点でリングシリーズ6作中唯一映像化されていない作品です。
なぜか?というとその内容が非常に映像化するのが困難だからです。
以下、この小説及びリングシリーズの重大なネタバレを含むので注意です。
この小説では二つの世界が描かれます。
一つは癌が世界を侵食する現実世界。
そしてもう一つは、ループというスーパーコンピューター内に作られた、貞子ウイルスが世界を覆い崩壊した仮想世界。
そう、貞子という存在は、というか「リング」や「らせん」で描かれていた物語はすべて、スーパーコンピューター内で起きていた話で、現実の物語ではなかったのです。
実際この物語の中でも貞子のことを「荒唐無稽」と一蹴してますからね(笑)
しかしこの物語自体もだいぶ荒唐無稽っちゃ、荒唐無稽なんですよね。
実は今回の主役である馨というのは、実は「リング」「らせん」に登場した高山竜司なんですよね。
どういうことかというと、スーパーコンピューター「ループ」内で死亡した高山でしたが、その死の間際「この世界は仮想現実である」と気づき、創造主(=現実世界の「ループ」の運営者)にアクセス。
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それを面白がった研究者が高山のDNA情報をもとに、現実世界に高山をクローン技術を応用して再生。
そうして生まれた赤ん坊が馨なんです。
(つまり成長した馨と高山は同じ外見になるので、映像化すると物語の終盤まで伏せられているこの真実がキャストで速攻ばれてしまうので映像化できなかった)
しかし、その際に誤って高山の体内にあった貞子ウイルスまで現実世界に呼び込んでしまったため、現実世界でも貞子ウイルスに端を発するガンが増殖してしまった、という設定。
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なんというか理屈が通ってるのか通ってないのか、よくわからない話ではありますが(笑)、けっこう読んでいる間は面白かったですね!
そして何より「ループ」と現実世界の関係が、メディア内での貞子と現実世界でそれを楽しんでいる僕たち、という関係性の写し鏡になっていて非常に良かった。
この小説内でも「貞子は小説、テレビ、映画、ゲームなどの様々な媒体に侵食していった」みたいな現実でのメディアミックスをほのめかす表現もありましたしね。
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いまだ映像化されていないこの作品ですが、「リング」一作目からかなり時間が経ち、さすがに高山を演じた真田広之さんが大学生を演じるのは無理なので、今のタイミングならキャストでの内容バレはないし、VRも一般化してきたので、貞子サーガの完結編として映像化してみても面白いと思いますね。
「すべては虚構」だったわけなので、世界観や設定のことなる数々の貞子作品もすべて総括できますしね。
それにもう貞子がこわくなくなっちゃった現実とも照らし合わせられますし(笑)