こんにちは!
今回は森達也著「クラウド 増殖する悪意」の中のネットの罵詈雑言に対しての、彼の考察が素晴らしかったのでご紹介したいと思います。
なぜこれほどに抵抗なく知らない人を憎悪して罵倒できるのだろう。
なぜこれほどに屈託なく、メディアの情報を信じてこんでしまうのだろう。
これらの書き込みに共通する心理は、「被害者や遺族を踏みにじりやがって」との怒りだ。
ただし、激しく罵倒する人たちの多くは、被害者や遺族ではない。(中略)
遺族の抱く応報感情だけを多くの人は共有する。
メディアによって煽られた治安悪化幻想が、これに油を注ぐ。
だからペラペラと軽い。紙の様にすぐ燃え上がる。
遺族の感情が死刑の理由になるのであれば、もしも親類や知人を全く持たない人が被害者となった時、その犯人の罰は軽くて良いということになってしまう。(中略)
ならば罪刑法定主義は崩壊する。
死刑は遺族の気持ちを癒すためにあるだろうけどネットに書き込む人はその覚悟があるのだろうか。
まさに卓見というべきでしょう。
個人的にこういう凶悪犯罪にかこつけて、一見まっともなことを言っているようで、実際は自分のストレスをネットで発散したいだけの人の書き込みって、例外なくキモチワルイな、って思ってたんです。
でも、その感覚をうまく言語化できなかった。
そのヒントをこの文章で見つけることができました。
つまり、彼らは一時的な・刹那的なエモーションでしか動いていない。
だから、浅い。
まともな大人ならそこから建設的な意見をだすべきでしょう。
それでないと社会は、森さんが言うように、法律が無意味な、感情論だけが横行する世界になる。
そんな世界、絶対ごめんですからね。
なぜならその先にあるのは・・・と、これ以上踏み込むとかなり長くなるので止めておきますが(笑)、そんなことを考えさせられるきっかけになった言葉でした。