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町田康 浄土 感想 飄々とばかばかしい短編集

こんにちは! 

 

今回は、芥川賞作家町田康さんの短編集「浄土」の感想です。

 

 

浄土 (講談社文庫)

浄土 (講談社文庫)

 

 

一言で言うと、「飄々とした筆致の、ばかばかしくも面白い話がつまった短編集」と言った感じ。

 

では、それぞれの短編の紹介を。

 

「犬死」 最近やたらついていない男が、良く当たると噂の占い師に会いに行こうとするお話。

このお話にかぎらないんですが、町田康さんの作品は、ストーリーよりも、脱線しまくりの雑談めいた、くだらない独り言が面白いんですよね。

タランティーノ監督みたいな。

この話でいうと「らいるん死ぬ」という謎の言葉が出てきます(笑)

 

「どぶさらえ」 町内会費を滞納したために、町内のどぶさらいを押し付けられたカッパの哀愁漂うお話。

寄合のくだらなさ、醜悪さが良く出ています。

ビバカッパ!

 

「あぱぱ踊り」 根拠もなく自分はすごい、えらい、才能がある、と思い込んでいる男を、主人公がじりじりと追いつめていくお話。

この男の描写がすごいリアルで、めちゃくちゃイラっとします(笑)

この作品では、この自信過剰男の周りに、踊り続けるふたりの女が常にいる、という微妙にありえない状況が設定されています。

この、現実に起こりうる可能性はありうるけど、現実的にはほぼ起こりえない状況設定というのも、町田作品には多いですね。

 

「本音街」 この本の中で、一番わかりやすいお話。タイトルの通り、だれもが本音を言う街に遊びに行った男のお話。

特にオチもないですが、楽しめます。

 

「ギャオスの話」 「怪獣が現れた!」というところからスタートしながら、全然予想と違うところに着地するお話。

怪獣は写真を撮られている限り、襲ってこないという、怪獣作品史上類を見ない設定が、「らしい」ですね(笑)

 

一言主の神」 古事記をパロディにした作品だと思うのですが、古事記をよく知らないので、残念ながらよくわからなかったです。

 

「自分の群像」 まったく仕事をしない・できない、地元の名士のボンボンに振り回される上司のお話。

この男が、度をこしたボンクラで、なにかあると「そうだったんですか?」を連発するだけで、謝罪も感謝もしない、というくそやろうで、読んでてどんどん腹が立ってきます(笑)

ただオチがちょっと唐突な感じがしましたね。

 

個別の感想はこんな感じです。

どれかひとつでも気になった方は是非読んでみて下さいね!