こんにちは!
今回は「幼少の帝国 成熟を否定する日本人」(阿部和重著)の感想です。
一言で言うと「非常に残念な本」でした。
作家としての彼はすごく好きなんですけどねえ・・・。
なんでこんなもんを書いてしまったのか。
この本では、日本人は成熟を否定した永遠の14歳の民族であり、日本は幼少の帝国である、という主張がされるんですが、このメインテーマにさっぱり納得できない。
彼がその理由として挙げ、本書でも取り上げるのが、「アンチエイジング」「小型家電」「特撮番組」「電力」。
後者の2個はまあいいんです。
おもしろかったですし、興味深かったです
でも、前者2個がねえ・・・。
それぞれの分野について、その道に詳しい人にインタビューをすることで深めていくスタイルで、その内容はまあ、つまらなくはない。
でも、彼の冒頭の説にどうつながるのかがさっぱり分からない。
「アンチエイジング」の章では、「YES!」で有名な高須院長にインタビュー。
ここで筆者は、「彼の話を聞いて、私は説の正しさを確信した」という風に書いているんですが、「どこで!?」って感じ(笑)
彼の説とは、成熟を否定する日本人としては、「アンチエイジング・美容整形」にたどり着くのは必然!みたいな説なんですが、自分は「???」って思ってしまいましたね。
また、「小型家電」についての章も「?」のオンパレード。
そもそもこの「小型家電」に連なる彼の説は「昭和天皇とマッカーサーの並んだ写真」についてでして。
(これですね↓)
「この写真を見た 日本人は天皇の小ささにショックを受け、そのトラウマを払拭するために、小ささを肯定するようになった。
その果てが小型家電である。」というもの。
んー、そうかなあ・・・?(笑)
ごめんなさい、全然納得できません(笑)
この本って、説得力が全然ないんですよねえ。
なんかそれぞれの要素がバラッバラで、全然まとまっていない。
筆者の興味のあることをまず取材して、それを一冊の本としてまとめるために適当にテーマをでっち上げたのでは?
と邪推してしまいます。
貶してばかりでは悪いので、阿部和重さんのおすすめの本を三冊紹介して終わりにしたいと思います。
入門編としておすすめなのはこちら!
短編集で、彼の作品の中では読みやすい部類です。
彼の代表作。
表紙は昔の方が好きだったなあ(笑)
女の子がメインのやつ。
長いですが、非常に面白い!
彼の作品の中で一番好き。
是非、(お口直しに)読んで見て下さい!