こんにちは!
今回は春日太一著「あかんやつら 東映京都撮影所血風録」の感想です。
ヤクザとチャンバラ。熱き映画馬鹿たちの群像
型破りな錦之介の時代劇から、警察もヤクザも巻き込んだ「仁義なき戦い」撮影まで。東映の伝説秘話を徹底取材したノンフィクション。
https://www.amazon.co.jp/dp/4167906414?tag=hatena-22&linkCode=osi&th=1&psc=1 2020/10/21閲覧
面白い本です!!
東映設立の前史から現在に至るまで、東映という映画製作会社はいかにして成り上がり、隆盛を極め、そこから転落し、また復活し、また転落し・・・といった東映ヒストリーがたっぷりのボリュームで描かれます。
400ページ超えてますからね!
ちょっとした辞書くらいのボリュームですからね!(笑)
タイトルにもしましたが、これを読めば「この映画はこういう時代背景で、こういう当時の東映の内情があって、映画界はこういう潮流で・・・」みたいなことがわかってきて非常に楽しい!
例えば最初、東映はスター主導による大衆娯楽時代劇で隆盛を誇ります。
これは質より量、わかりやすいパターン、徹底的にスターを立てる、という姿勢で作られていました。
しかしいずれあきられ、今度は集団時代劇に方向転換。
これも一時期人気がでるも、しばらくするとブームが終了。
その後もお決まりパターンの任侠映画、「仁義なき戦い」などのリアルなヤクザ映画、ポルノ映画、テレビ界への進出、映画村設立、カラテ映画、大作一本立て興業の失敗、ハリウッドの後追い企画等々、様々な方向転換を繰り返して今まで東映はサバイブしてきたのです。
そういう流れが分かっていると、「なんでこんな映画が作られたんだろう・・・」と思ってしまうような映画も「そういう背景だったんだ!」と理解できるようになり、映画をより深く理解できるようになります。
例えばこの本の中では触れられていませんが、往年の東映ヤクザ映画路線の作品である「孤狼の血」なんかも、この本で描かれている東映の歴史を理解していればより味わい深く楽しめると思います(もちろん作品単体で見ても面白いですけどね)!
あくまでも東映という会社視点ではありましが、日本の戦前からの映画史も概観できる本でもありますし、非常におすすめです!!!
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