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古市憲寿作「奈落」 感想

こんにちは!

 

今回は古市憲寿作「奈落」 の感想です。

 

奈落

奈落

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あらすじ↓

歌姫は、17年間たったひとり――。
人気絶頂の瞬間、ステージから転落してはじまった悲劇。
孤独な歌姫と、最も醜い家族の物語。


17年前の夏、人気絶頂の歌手・香織はステージから落ち、すべてを失った。
残ったのはどこも動かない身体と鮮明な意識、そして大嫌いな家族だけ−−。
彼女を生かすのは、やり場のない怒りか、光のような記憶か、生まれ出る音楽か。
孤独の底から見上げる景色を描き切った飛翔作。


これ以上怖ろしいことが、この世にあるだろうか。

 

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意識はあるけれども、自分の身体を動かすことができない。

傍から見れば植物人間状態。

そんな絶望的な状態になってしまった主人公が、事故とそして年月と共に変わっていく周囲の人々と社会を見つめる。

みんな変わっていくけれども、動けないからこそ彼女は冷静に、客観的に社会を眺める。

それは社会学者である作者の、ある意味で自分もこうありたい(冷静に、客観的に世界を観察したい)という欲望の現れなのでしょうかね。

 

   

 

それにしてもこの物語は救いがない。

その基本的に主人公はずーーーっとひどい目に合い続ける。

だからこそ、最後の最後には救いがあるのではないか、と思い終盤は必死でページをめくりましたよ。

どうか報われてくれ!と。

 

だがそこで突きつけられるあまりにも残酷な真実。

主人公は事故に合って、どれだけ時間を経てもなお、自分だけは変わらない、と周囲を高貴な目線で眺めていた。

しかし、当然のことながら彼女は大いに変貌している。

その事実を受けてのラスト。

 

あれを救いと見るか、それとも絶望とみるか。

個人的にはあれは一見救いに見えますが、やはりそこにあるのは深い絶望だと思います。

とにもかくにもこの作品は面白かった!

 

彼の社会について書いた著作も面白いですが、フィクションまで面白いとは!

どんだけ多彩なんだ!古市!

 

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