こんにちは!
東京には一度も行ったことない下駄夫です。
今回はお笑い芸人にして芥川賞作家、又吉直樹著「東京百景」の感想です。
読む前は「芥川賞取ったとはいえ所詮タレント本でしょ?」と思ってましたが、読み始めると圧倒されました。
言語センスが圧倒的なんです。
又吉さんという人の卓越した観察眼、壊れそうなくらい繊細な心、ほかの芸人さんの面白エピソードなどなどが、又吉さんの目、センスを通して描かれます。
また詩や、妄想のお話も入っています。
東京の100の場所に関する100のエッセイが収録されているのですが一本一本の長さは全然違います。
1ページの時もあれば、6ページのときもあります。
さていくつかこれはすごい!と思った表現を紹介したいと思います。
まずはちょっとおかしいなぞのタトゥーブルース男に絡まれたときの一言。
呆れている僕の表情に気付いたのだろう、男は子供が駄々をこねる時のように語尾を強調する発音で「タ、ト、ゥー」と言った。
奇妙な馬鹿が無邪気なことほど、この世に恐ろしいものはない。
笑いましたね、これは。
また引用はしませんが、しかめっ面で地面を見て、何かを探している女性を「地球に喧嘩を売る」と表現したのも好きでしたね。
次は誕生日パーティー?で浮かれている人たちに冷静な一言。
これから飲み会に向かうように見える会社員風の団体。
その内の一人が、東急ハンズのパーティーグッズコーナーに売っている「本日の主役」というタスキをかけていた。
僕の人生にとっては脇役中の脇役だ。
こんな感じの鋭い分析(ツッコミ?)が楽しめます。
ただそれだけではなく、全体的に非常にストイックというか、追いつめられたというか、「今にも自殺するんじゃないか?」という怖さすら感じてしまうこともあります。
ただ非常に読みやすく、面白い本なので興味ある方は是非!