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これをおいしいとする? 心に残った言葉シリーズその7

こんにちは! 授業では国語が好きだった下駄夫です。

 

今回は、高校の教科書で出会ってから、ずっと心に残っている言葉のご紹介です。

 

タイトルにもした「これをおいしいとする?」という言葉ですね。

 

これは、数研出版から出ている高校生用教材「現代文」に掲載されていた佐藤雅彦さんの文章「これを、~とする。」に出てきた言葉です。(もともとは「毎月新聞」というものに乗っていた文章のようですね)

 

 

毎月新聞 (中公文庫)

毎月新聞 (中公文庫)

 

 

佐藤雅彦さんは、独創的な発想が詰まった本「クリック」の執筆や、テレビ番組「ピタゴラスイッチ」の監修で知られている方ですね。

 

さてこの、「これをおいしいとする?」という言葉は、これだけ聞いても分からないと思うので、簡単にこの言葉が発せられた文脈を紹介したいと思います。

 

作者と仕事仲間数人で海外に仕事に行った時の事。

強行軍に疲れ切って一刻も早く休みたい状態だったにもかかわらず、ガイドは時間をかけて店に連れていきます。

この時点で、すでに作者たちはイラッとしてるわけですが、出された料理がイライラを爆発させます。

それは、その土地独特の発酵したスープのようなものだったのです。

口々に不満を吐き出す作者たち。

 

そんな中、ひとりの女性が言います。

「現地の人は、これをおいしいとする?」

そう言ってそのスープを食べた彼女は、さっきまで「腐っている?」と言っていたスープを、「おいしい!」と感じるようになります。

 

作者もつられて、「これはおいしいのでは?」という意識で食べ始めると、最後にはその味に夢中になる。

さして佐藤さんは、この体験を「想像の原点」と言います。

 

というお話でした。

 

下駄夫は、このエッセイを高校生の時に読んでから、ずっと好きでした。

 

ここで描かれている「価値観の転換」という発想が、ずっと自分の中にある気がします。

 

つまりイライラした状態で、「こんな変な匂いするもんがうまいわけねえじゃん!」と思って食べるのと、「○○さんがおいしいって言ってたし、うまいんだろうなあ!」と思って食べるのでは、やっぱり味って違うと思うんです。

 

そしてこれは、味だけじゃなく、音楽とか小説とか映画とか、いろんなことに当てはまることだと思うんです。

 

要するに「先入観」の問題ってことですね。

 

ただこの話の要点は、「先入観って大事だよね!」ってことじゃなくて、その「先入観」を取り払い、いわば「別の先入観」を持つことができるか?柔軟に転換できるか?ということであり、同時に一つの「先入観」(価値観)にとらわれず、それを上手に転換していくことができる人の方が、人生を楽しめるでは?、ということなんじゃないかな、と思います。

 

この考え方、つまり「一つの価値観にとらわれるな!」というのは、自分の中でかなり需要な考え方なんですよね。

 

もしかしたら、佐藤さんが意図したこととは違う読み取り方をしているかもしれません。

まあそこは柔軟に対応してくださいってことで(笑)