こんにちは!
今回は稲田豊史著「ドラがたり」の感想です。
この本は、私、リモコン下駄夫が尊敬する宇野常寛さんが主宰を務める「PLANETS」から出版されたもの。
そのため、自分的には大満足でした。
この本はドラえもんというものを題材にして、(かつての)少年・少女観の思想の変遷を描いたものだ、と自分は解釈しました。
結論から言ってしまえば
「無能な自分を無条件肯定してくれる、成長も上昇も志向しないのび太という生き方を是とするドラえもん。
それを生み出した藤子・F・不二雄のいじめられっ子メンタリティには功罪がある」
といったところでしょうかね。
タイトルにもしましたが、本文中には「のび太ほどのクソ野郎はなかなかいない」、コロコロコミックは「いい年こいてノスタルジックなサブカル趣味」の温床と手厳しい。
つまりこの本は、「ドラえもん」の面白・感動エピソードのあらすじを書いて、適当なコメントをつけて、まとめただけの「ドラえもん賛美本」でもなければ、細かいミスや欠点を上げ連なって批判する本でもありません。
そういったお手軽に作られた本ではなく、しっかりとしたリサーチと深い洞察にもとづいて書かれた本です。
ですから、ただ「ドラえもん」好きの方がファンブックのようなノリで読み始めると痛い目見ます(笑)
「ドラえもん」好きの人間に対して(自戒も込めてではありますが)、「人間的未成熟」と断言したりしてますからね。
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ただ勘違いしないでほしいのは、この本の著者はドラえもんがきちんと好きで、かなり読み込んでいるということ。
だからこそ深い考察が可能なわけでね。
最後にこの著者の「ドラえもん観・藤子・F・不二雄観」が現れている一説をご紹介しましょう。
当時のFがやりたかったことは「愚かな人間や愚かな体制をペン一本でおちょくる」ことであって、芸のない直接的な政治的主張などではない。
芸のない直接的な政治的主張!
誰かに聞かせてやりたいですねえ。