こんにちは!
今回は鈴木文治著「ホームレス障害者: 彼らを路上に追いやるもの」の感想です。
ホームレスの3割以上に障害があるといわれている。彼らを支える社会のあり方を、障害児教育と教会での支援活動を通して考える。
なぜ、障害をもつ人たちがホームレスになってしまうのか?生活保護は有効な支援か?仕事がないのは「自己責任」か?障害児教育に問題はないのか?―どのような人も排除しない、インクルーシブな教育と地域社会のあり方を探る。
https://www.amazon.co.jp/dp/4535563098?tag=hatena-22&linkCode=osi&th=1&psc=1 2020/3/3閲覧
「ホームレスの3割以上に障害があるといわれている」、サラッと書いてありますが、これってすごく重要なことじゃないでしょうか。
つまり少なくともホームレスの内3割は、本来福祉でカバーすべき人たちである可能性がある、ということなわけです。
そんな彼ら・彼女らがなぜ路上にいるのか?
もし知的障がいがあるのなら自分で役所と交渉して、生活保護や福祉の庇護下に入るのは難しいでしょう。
肉体的な障害で言えば、耳が聞こえなかったり、目が見えなかったりしてもまた、難しいはず。
そんな彼ら・彼女らをなぜ国が救い上げないのか?
彼ら・彼女らに手を差し伸べるのは、この本の著者が所属する教会ボランティアだったり、貧困ビジネスであったり、売春組織だったりする。
さて、この本ではほとんど女性の話は出てきません。
それは「最貧困女子」という本にも書いてあったことですが、障がいのある女性の(一種の)セーフティーネットとして売春組織が役割を果たしており、そこで人とつながることで福祉の庇護下に入ったり、恋愛や結婚に至れたりする。
売春が良いことかどうか、障がい者に売春させることの是非は一旦置いておいて、実際に彼女たちは売春という方法であれ、社会とつながる方法がある。
対してこの本に出てきたホームレスの男性たちは、家族も恋人も友人もなく、ひたすら孤独の中で生きてきた。
社会とつながらずに生きてきた。
彼らの絶望的な孤独を思うと、本当に涙が出てきます。
特に悲しかったのはある男性の話。
支援者は誰もがみな、一度は彼に手を差し出す。
一緒に食事をしたりはする。
でも彼を家に泊めることはできない。
なぜか?
彼は服を変えたり、風呂に入るのを極度に嫌い、そのため悪臭がすさまじい。
食事をふるまうことはできても、誰も彼を一晩止められない。
家に悪臭が充満してしまうし、何よりその悪臭に耐えられないから。
悲しい話じゃないですか?
自分はこの話を読んで「ハリネズミのジレンマ」という言葉を思い出しました(違うけど)。
そんな色んな事を考えさせる本です。
是非!!
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