こんにちは!
今回は宮西真冬作「首の鎖」 の感想です。
あらすじ↓
ある夕方、保育園から榎本千夏子に一本の電話が入った。
「夏紀ちゃんがいなくなりました」
なんと、千夏子の子が保育園から消えたという。
不安を募らせる千夏子のもとに、二本目の電話が。
その電話は<彼女>からのものだった――。
4人の女性が抱える「女」としてのジレンマを鮮烈に描き切った究極のサスペンス!
https://www.amazon.co.jp/dp/4065237696?tag=hatena-22&linkCode=osi&th=1&psc=1 2022/2/21閲覧
地獄です。
この宮西真冬という作家は一貫して地獄を描き続けています。
現実に起きうる、リアルな地獄。
こういう作品でもメフィスト賞が取れるんですねえ。
もっとエンタメしているというか、振り切った作品じゃないとだめなのかと思っていましたが。
さて、今作の地獄の原因となるのは「子供」です。
子供を産んでも愛せない母親。
セックスレスに悩む女性。
夫の実家との関係に悩む母親。
子供を欲しいと思えない保育児。
全員がこの、まだまだ男女格差や家制度などの窮屈な状況が残っている社会で、女性=産む性、としての選択、産め!という家族や社会からのプレッシャーに苦しむ。
そして産んだら産んだで、子供の面倒を見ろ、愛せ!と当然のように思想を押し付けられる。
追いつめられていく。
その姿がもう、読んでいて非常に辛い。
基本ずっと辛いです、この小説。
ただ最後、どどどどどっとすべてが雪崩のように解決していきます。
正直ここは「そんなうまいことあるか?」とも思うんですが、あんな地獄のまま終わられるよりは全然良いですね(笑)
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