こんにちは!
今回は宮西真冬作「友達未遂」の感想です。
あらすじ↓
「これでみんな、共犯者ね」
秘密を抱える4人の少女。
その仮面がはがれる時、
校舎で事件は起きる――。
書評家、書店員、各紙誌が大絶賛した
一気読み必至のサスペンス、ついに文庫化!
親に捨てられ居場所を失った茜は街から離れた山奥の全寮制の女子校へ入学した。桜子、千尋、真琴の3人のルームメイトと共同生活をする中で、肖像画の破壊など不審な事件に巻き込まれる。浮かび上がる4人の深刻な問題。そして、嫉妬、憧れ、トラウマ、怒り。それらが交錯するとき、事態は思わぬ方向へ……。
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全寮制の女子高を舞台に繰り広げる事件。
といっても殺人とかではなく、ごくありがちないたずらであります。
しかし、それを引き起こした女子生徒たちの心のうちは地獄。
なにが地獄って全員絶望していること。
過干渉で今でも高校時代のマドンナ気分が抜けない毒親に支配されている、みんなの理想の生徒会長。
その生徒会長に導かれる、母親に捨てられ祖父母に存在を無視されている、新入生。
地元の神童、中央に出てくれば大したことはない、という絶望を引き受ける元神童。
そして生徒の心を毒してまで受験を勝ち残らせようとする教師に復讐しようとする少女。
全員が全員、学校か家庭か、どちらかに大きな問題がある。
しかし全員がそれを胸に秘めているため、お互いからはお互いが理想的な存在に見え、そこに恋い焦がれたり、嫉妬したりする。
いやあ、地獄です(笑)
高校生にとって、世界は家庭か地元か学校か、くらいしかないわけです。
全寮制ならバイトも塾もいけませんし、世界は本当に閉鎖されている。
その地獄。
逃げ場がない、という地獄。
それが非常によく表現された、面白い小説でした。
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