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宮西真冬作「首の鎖」 感想

こんにちは!

 

今回は宮西真冬作「首の鎖」 の感想です。

 

 

あらすじ↓

勝村瞳子、独身。自分を疎ましがる母の介護と、実家の店でこき使われているうちに一日が終わる。恋人には、妻がいる。
そんな中、病院の待合室で丹羽顕と出会う。彼は、妻からのDVに悩まされていた。
愛しているのに苦しい、家族への複雑な想いを初めて理解し合えた二人は、ある殺人事件を機に共犯者となるが――。

 

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主人公は家族から介護要員としてしか見られていない独身の女性。

彼女は夢も断たれ、「愛」と言う便利な言葉で家族にしばりつけられて、祖母の介護、そして祖母が死ねば今度は母親、といった具合に、日々介護を押し付けられている。

そんな彼女は、介護の辛さ、そして生き辛さを紛らわせるため、小学校時代の教師に抱かれている。

まあ不倫ですね。

 

   

 

そしてもう一人の主人公。

彼も母親が認知症で介護とはいかないまでも、ボケはじめ見守りが必要な状況。

そしてより大きな問題は、妻からDVを受けている事。

束縛が厳しく、ルールから少しでも外れれば殴る蹴るの暴行を受ける。

そんな生き辛さを抱えた二人が出会い、どうなっていくのか。

読んでいて思ったのは、この二人の主人公は境遇も性格も、似ているようで似ていない、ということ。

一見すると共通点は多いのですが、二人の内面や自分に危機が迫った時どう対処するのか、という点に関してはけっこう違う。

 

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だから最後、二人は○○〇〇するわけですが、結局すぐ破綻しそうだなあ、と。

なんかこう、お互いに理想を投影しすぎていて、現実が見えた時にもういいやってなりそうというか。

 

確かに二人とも小説のタイトルのように「鎖」に囚われているんですよね。

DV妻も介護母も二人を「愛」で縛っている。

そして二人とも、最後にはそれを捨てる。

だけれども、縛られていたからこそそれが二人の共通点だったわけで、その鎖から放たれてしまえばもう、二人をつないでいた共通点もなくなるのではないか、と思うのです。

 

 

と、ここまで親身(?)に登場人物の事を考えてしまうくらい、面白く、引き込まれる小説でした!

 

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