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伊坂幸太郎作「シーソーモンスター」 感想

こんにちは!

 

今回は伊坂幸太郎作「シーソーモンスター」の感想です。

 

 

あらすじはこんな感じ↓

 我が家の嫁姑の争いは、米ソ冷戦よりも恐ろしい……。

バブルに浮かれる昭和後期の日本。激しくいがみ合う嫁姑の間には、共通の秘密の過去があった!?(シーソーモンスター)舞台は近未来。ある天才科学者が遺した手紙を巡って、男二人が世界を救うべく激走する!(スピンモンスター)

 

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本作は「シーソーモンスター」「スピンモンスター」の二作から構成されています。

作品的にわかりやすく面白いのは「シーソーモンスター」の方で、テーマ的に物語が完成するのが「スピンモンスター」。

なのでこの二作は合わせてひとつの物語と考えた方がいいでしょうね。

そんな本作もいつも通り素晴らしかったわけですが、その魅力を3つのポイントから語りたいと思います。

 

 

 

 

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・時代とのシンクロ

 

さて、自分は伊坂幸太郎の作品はほとんど読んでいると思いますが、彼の作品が優れているのは「作品と発表された時代の世界・日本が深い部分でシンクロしている」点だと思います。

 

   

 

今作で言えば「シーソーモンスター」が取り扱うのは「昭和から平成」へと移り変わるタイミング、「スピンモンスター」は30年後、デジタルデータの信用度が落ちた(終わる)令和の時代。

 

 

本作が発売されたのは平成から令和になった直後ですが、あえて(ほとんど)平成を描かないということで「今」を浮き彫りにするという姿勢が素晴らしい。

つまり、昭和と言う過去、そして人工知能が発達した未来、この二つのミッシングリンクとして「今と近未来」があり、その不在を読者に想像させる。

よく知っている(人もいる)昭和の時代と、人工知能万能の未来、一人の女性が老婆になるくらいの時間。

 

 

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この本を読んでいる僕たちがいる「今」。

この「今」がどうなって「スピンモンスター」の未来にたどり着くのか。

それを想像させるヒントは随所に転がっていて、そこで彼が考えている「今」の危険性が(注意深く読めば)浮かび上がってくる。

どこまで意識してやっているのかわかりませんが、彼の作品には「今」と通底する要素が必ずあり、そういう意味で彼は何を書いても「今の日本・世界」を映し出すのかもしれません。

 

・ニュース

 

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今作でそこまでフィーチャーされているわけではありませんが、「ニュースって本当に正しいの?」という要素がちょこって出てきます。

極論を言えば、自分が経験したこと以外は本当に起きているかどうかなんてわからないわけです。

もしかしたらそんなことなんて一切起きていなくて、周りの人間が口裏を合わせているだけかもしれない。

それは「スピンモンスター」で終盤、主人公に起きるコペルニクス的回転の出来事もこの「ニュースの不確かさ」と同じ意味なのかもしれません。

 

 

 ・海と山

今作で何度も出てくる話であり、テーマに直結するであろう寓話が「海と山と審判」の話。

世の中には海族と山族の人がおり、この二つの種族は、本人たちの努力とは関係なく互いにいがみ合い、憎しみ合ってしまう。

相性が極端に悪い。

それはもう、はるか昔から行われている延々と、脈々と連なった争い。

 

これはあくまでも寓話。

要するに現実世界でも「どうもこの人とは馬が合わん!」という人が誰でもいるとは思うんですが、もう「それはしょうがないことなんだ」と。

「過去からの因縁なんだからもうあきらめようぜ」と、そういうことがいいたいんじゃないかなあ、と思うんです。

 

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そして「近づいたら争い合ってしまうから、お互い離れて生きよう」というのが本作での伊坂幸太郎の結論なんです。

「合わない人と無理に仲良くなろうとするのではなく、あきらめて離れるのも一つの手段だよ」っていうね。

これは「フーガはユーガ」で描かれた「毒親」問題の回答でもありますよね。

そう考えると、彼の最近の関心はそういった「生まれ持った因縁の対処の仕方」にあるのかもしれませんね。

 

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