こんにちは!
今回は伊坂幸太郎作「クジラアタマの王様」の感想です。
あらすじはこんな感じ↓
巧みな仕掛けとエンターテインメントの王道を
貫いたストーリーによって、
伊坂幸太郎の小説が新たな魅力を放った
ノンストップ活劇エンターテインメント。
異物混入、政治家、アイドル、
人々の集まる広場、巨獣、投げる矢、動かない鳥――。
伊坂幸太郎の神髄がここに。
https://www.amazon.co.jp/dp/4140057068?tag=hatena-22&linkCode=osi&th=1&psc=1 2020/8/15閲覧
伊坂幸太郎作品の中では「SOSの猿」や「あるキング」のようなファンタジー寄りの作品ですね。
現実世界と夢の世界の二つの世界がリンクしていく。
夢の世界で勝利すれば現実は好転し、逆に負ければ現実は良くない方向に向かっていく。
その夢の世界で共闘するのは製菓メーカーに勤める主人公、愛人を多数囲う政治家、そして人気ダンスグループに所属する小沢の三人。
この一見かかわるはずのない三人が伊坂幸太郎流のストーリーテリングで交わっていくのはお見事の一言。
なんですが、まあ伊坂幸太郎作品の中では(あくまで個人的にですが)面白さ敵には「普通」かそれよりちょっと下くらいかなあ、という印象。
(まあ伊坂幸太郎作品は平均点がめちゃくちゃ高いので普通の作品に比べたら面白いんですけどね)
ただこの作品で伊坂幸太郎という作家の底知れなさを感じるのは、終盤の展開が「インフルエンザが変異したウイルスのせいで世界がパニックになり、主人公がそれに立ち向かう」というまるで2020年のコロナ禍を予言したかのような内容になっていること。
この本が発売されたのが2019年の7月ですから、もう本当に「予言か?」という感じ(不要不急の外出は控えましょう、という話もありましたしね)
優れた作家と言うのは時として予言者になる、という話がありますがまさにそれ。
インフルエンザについて、「今まではなんとかなっていたけど、それがずっと続くかはわからない。今回もそうなるかはわからない」。
主人公がそう述懐する台詞がありましたが、これはまるで警告のようではないですか!!
と陰謀論を語ることもできるんですが、伊坂幸太郎は作品の中でこんな台詞も書いています。
「疑い始めると、みんな、パズルのピースに思えてきちゃうけど」
まさか伊坂幸太郎がこの作品を発表した段階で「これが予言の書だなんだと騒がれてはかなわないから、ちょっとくさびをうっとくか」みたいなことで書いたわけではないでしょうし、そこまで力を入れて書いた台詞ではないでしょう。
でも考えれば考えるほど、不思議な魅力というか妖しさが漂ってくる一本でしたね。
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