こんにちは!
芸人さんにあこがれる下駄夫です。
今回は、又吉直樹さん作「火花」の感想です。
この「火花」という作品は、ドラマ化・映画化などもされた作品なので、ご存知の方も多いんじゃないでしょうか。
下駄夫も存在は前から知っていたのですが、読んだのは初めてでした。
感想を一言で言うと、「芥川賞受賞も納得!漫才師にあこがれた二人の男の魂の物語」と言った感じでしょうかね。
又吉さんの卓越した文章力は、「東京百景」を読んで知っていたので、期待していたんですが、その期待を軽々と超えてきましたね。
お話としては、売れない芸人漫才師・徳永と、その先輩・神谷の、鬱屈しつつも輝いていた日々を描いたものですね。
この「火花」は会話が多いこともあり、非常に読みやすいです。
また、独自の感性を持つ神谷の、少しずれたセンス・考え方には笑いましたね。
ただ、神谷が、今の時代や国、笑い、芸能界や漫才について話すことは、決して的外れという訳ではなく、斜め下から心に染み入ってくるような感じがしましたね。
さらに
・売れない芸人がどういったことを考えているのか?
・どういう精神構造なのか?
・どういった生活をしているのか?
ということが、リアルに描かれていて、興味深かったです。
特に売れない漫才師の焦燥感、絶望感、卑屈さ、漫才師としてのプライドなどがよく出ていましたね。
終盤の徳永とその相方の最後の漫才のシーンはすごく良かったですね。
相方への感謝を、逆説的にストレートに表現し、しかもそれが観客に見せる漫才、つまり表現になっているところはすごく感動しました。
ただ又吉さんがすごいのは、そのすぐ後にネットの残酷な反応を描いたこと。
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つまり終盤は、この小説の読者が追体験した世界、狭い世界では、すごく重大で、重要なことであっても、世間という広い世界から見れば、ただの売れない一組の漫才師に起きたことなど、どうでもいいネット記事の一つ分くらいの価値しかないという、その残酷な真実を描いていて、すごく心に来るものがありました。
ちなみにラストのラストはすごくびっくりしましたが、自分にはちょっとよくわからなかったですね。
ただ、もう少し時がたって、もっと大人になればわかるようになるかもしれません。
いずれ読み直したいですね。