こんにちは!
今回は「大駱駝艦・天賦典式 《Crazy Camel Garden》」 の感想です。
テレビや映画でも活躍する日本を代表する舞踏家、麿赤兒が主宰する舞踏カンパニー「大駱駝艦」。天賦典式”(てんぷてんしき:この世に生まれ入ったことこそ大いなる才能とする)と名付けたその様式により、忘れ去られた「身振り・手振り」を採集・構築することから、数々の作品を創作し、ヨーロッパやアメリカなど、海外でも高い評価を得ています。今回は大駱駝艦のレパートリーの一つである「Crazy Camel」をファンタスティック・サイトのために特別バージョンとしてリクリエーションし、東京都庭園美術館・芝庭にて今回限りの舞台を披露します。
https://tokyo-festival.jp/2020/fantastic-site/crazy-camel-garden/ 2021/5/22閲覧
野外舞台で雨の降る中での公演でした。
観客は受付でもらったレインコートを着、演者さんたちはずぶぬれになりながら必死に踊っていました。
野外舞台といっても屋根があるわけでもなく・・・。
ただ、舞台に溜まっている水が演者さんたちの動きに合わせて飛び散り、それがまたひとつの「体験」としては面白かったなあ、と思います。
そう、今回は純粋に公演としてどうだったか、というより(というか、演劇自体ほとんど見たことがないので語りようがない)「ひとつの体験」としてどうだったか、というお話をしたいと思います。
結論から言います。
「わけわからなかったけど、めちゃくちゃ良かった!!!!」
これが感想の(ほぼ)全てです。
ですが、これではさすがに短いので少しだけ補足します。
今回の公演(というか大駱駝艦の舞台は全部?)、台詞は一切なく、音楽と舞踏だけですべてが表現されています。
なので正確なストーリーすら、正直よくわからないというか、見るものにゆだねられています。
おそらく、少女二人が仲良くなったものの、二人とも同じ男に惚れてしまい・・・、という話、だったと思います、たぶん(笑)
この主軸の白塗り三人と、金色に身を包んだ人たち(自分は妖精のような存在だと解釈しました)が踊り、動き、叫び、躍動する。
その肉体の美しさ。
音楽の素晴らしさ。
照明の上手さ。
人間の身体の持つリアリティ。
(手を揺らすとか、足を上げるとか、誰でもできる行為ではあるけれど、それが集団として統率されて提示されるとここまで肉体性を感じさせるものなんですね)
そして何より、圧倒的な存在感を持つ舞踏の、その力!!!
すっかり魅了されてしまいました。
さらに今回は四方を自然、森林に囲まれた状態で見たので、まるで何かのイニシエーションのような雰囲気すら感じましたね。
言葉や説明がないからこそ、ある意味で世界中で、そして時代を超えて通用するもの足りうるわけで。
だから「もしかしたらこれは1000年前の儀式なのか?」とかちょっと思ってしまったり(笑)
要するに「太古の昔から続く踊りという人間の肉体の芸術の最新形をここに見た」ということが言いたいわけですね。
最後に、大駱駝艦が詳しい方には怒られるかもしれませんが、「白塗り」と「金色に身を纏う」ということの意味についてひとつ。
先ほど書いた「どんな時代や場所でも通用する」ということにも通じるのですが、「白塗り」も「金色」も、それは役者の(表層的な)特徴をはぎ取ること、ひるがえせばその状態になることで、役者さんたちは一見区別がつかない「匿名性」を獲得すると思うのです。
顔の美醜も、年齢も、性別も関係ない、一つの肉体として舞台にあがり、そこで純粋に自らの肉体の「舞踏」を披露する。
なんて、そんなことを考えてみたのですが、いかがでしょうか(笑)
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