こんにちは!
今回は中澤日菜子作「PTAグランパ!」 の感想です。
あらすじ↓
勤続43年、無欠勤。元モーレツ社員67歳。小学校PTAの副会長に!?
大手家電メーカーを定年退職した、いわゆる元「モーレツ社員」の武曾勤。悠々自適の隠居生活……のはずが、商社勤めの娘が、小学一年生になる孫娘と共に出戻った。さらに、勤は娘の代理で青葉小学校PTAの副会長を務めることに。会長は24歳金髪のギャル男、もう一人の副会長は気弱な主婦。勤は「PTAなぞ暇な主婦のお仕事ごっこ」という認識で、敵を作らぬわけがない。早速、会計監査でママ集団のボス・雅恵に目をつけられる。形だけの総会、子連れの居酒屋打ち上げ、運動会に夏祭り……勤には到底理解できない出来事と、トラブル満載のイベントが続く中、信頼していた教師がある事件で起訴されてしまい……。
時間労力愛体力を仕事に捧げてきた昭和の男が、子供と家族、自分自身と向き合う一年間!
期待の新鋭が描く、優しい気持ちになれるPTAエンタメ。
面白かったですねえ。
PTAという、主夫やフリーランスなど、働き方や家族の在り方も変化していっている日本。
男女共同参画社会になっている(?)日本!
とはいえ、まだまだPTAに参加しているのは母親が多いという現状があります。
その腹の読みあい、空気の読みあい、グループ、派閥、教師との力関係等々めんどくさい人間関係うずまくPTAに乗り込むのは、大手商社で課長を務めるシングルマザー!
を娘に持つ定年退職したおじいちゃん!!
会社カルチャー、そして昔気質の男女観を振りまき、母親達から煙たがられるという悲劇!
集団の空気と無意味な慣習で決まっていくPTA! VS 堅物な会社人間という構図がすごく面白かったですね。
さらにこの小説のいいところは「だからPTAはけしからん!」という風にPTAだけを悪者にしないこと。
方やPTAグランパを主人公にする一方で、もう一人の主人公としてパートと家事をやりくりしてなんとかPTAに参加する、極めて平凡で典型的な主婦の気持ちや行動もしっかりと描いていく。
これにより、「まあどっちもどっちだよね・・・」となって、これまた面白い。
どちらにも問題があるよね、っていう(笑)
そんな混沌うずまくPTAのバトルの中で、いい具合に無神経で鈍感な会長がいるのも良い。
彼は高校時代に子供を作り、今はゲーセンでバイトをしている若者。
彼がなかなかいい役割を果たすんですよねえ。
絶妙な空気のよめなさと、素直であるがゆえの正しさ。
まるで伊坂幸太郎の小説に出てくるような爽快な人物でした。
この三者の人間関係の絡まりあいをぜひ楽しんでください!
おすすめです!
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