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村田沙耶香作「ハコブネ」 感想

¥こんにちは!

 

今回は村田沙耶香作「ハコブネ」の感想です。

 

 

あらすじ↓

自らの性に疑問を抱く里帆、女であることに固執する椿、生身の男性と接しても実感を持てない千佳子。三人の交差する性はどこへ向かうのか。第155回芥川賞受賞者による渾身の長編小説。

 

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素晴らしかった!

今回も素晴らしかった!

コンビニ人間のあまりの面白さに衝撃を受け、今村田作品を読みまくっている最中なのですが、本作も素晴らしかった!

今回のテーマは「セックス」。

 

それは行為としての「セックス」でもありますが、それよりも性別という意味での「セックス」の意味合いが強いと思います。

今作の主要登場人物は三人なんですが、この三人がそれぞれ「セックス」に対するスタンスが違って、その違いがぶつかり合うのが面白い!

 

   

 

一番スタンダードに向き合っているのが椿。

彼女は「女性」であることの苦しさや辛さを受け入れ、いわゆる「女性」として生きている。

それは社会と折り合いをつけるためであり、どこかで「女性という存在」を演じているにすぎないわけですが、でもそれはみんな多かれ少なかれそうなわけで。

だから普段はそんな「女性という記号」も特に意識せずに生きている大人の女性。

 

次に椿と同い年の千佳子。

彼女のキャラクターはぶっ飛びすぎていてよくわかりません(笑)

ある意味すべてを達観した、仏のような存在です。

この千佳子の存在が、物語に揺さぶりと気づきを与えてくれるのは確かなんですけどね。

 

対して19歳のフリーター・里穂。

この子が面白い。

セックスが辛くてしょうがない里穂は最初「女性であること」が辛いと思い、男になろうとするがうまくいかず、じゃあ同性愛者か?というとそういうわけでもなく、無性を志向するもそれも「無性」という記号にすがっているにすぎない。

最終的に「性別を脱ぎ捨てたセックスがしたい」という自分の欲求にたどり着く。

そもそも「性別」という概念自体に違和感を感じ始める。

男性だとか女性だとか無性だとか、そんな区別に何の意味がある?

性別なんてめんどくさい考え方から逃げ出したい!という。

 

なんというか、この感覚、ちょっとわかりますね。

誰もが多かれ少なかれ持っている感情なのではないでしょうか?

 

性別を脱ぎ捨てたセックスとは何か?

まだまだ人生経験の浅い自分にはわかりませんし、本作の中でも明確に答えが描かれているわけでもないのでなんとも言えませんが、男性とか女性とか、そういう性別におけるセックスの役割から解放された、精神的な強い繋がりを反映した肉体的行為、という感じでしょうかね。

いやまあじゃあそれどうやるんだよ?と言われたらまったくわからないわけですが(笑)

 

ただ、こう村田作品はこういう誰もが感じているであろう、小さな違和感を救い上げて、それについてしっかりと考えて考えて考え抜いて作品にしているから、胸に迫ってくるものがあるのでしょうね。

ということで、本作も大傑作でした!

性別というそもそもの概念に違和感を持っていたり、セックスがあんまり好きじゃなかっりする方、是非読んでみてください!!!

 

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