今、TOKYO COOLが面白い。
小太りのおっさん芸人二人が全力で「HEY!」とか「YEY!」とか言いながら、ベタな芸を繰り広げる。
その姿は正直全然COOLではない。
そもそも、二人とも関西弁なのでTOKYOですらない。
なのに、TOKYO COOL。
この、ある種出落ち的な芸名の中堅芸人が繰り広げる笑いはしかし、心地いい。
わかりやすいしゃべくり漫才である。
M1で優勝するような作品としての美しさも、そのコンビ名に反してスタイリッシュさもないが、その分老若男女に受けそうな大衆的な笑いだ。
彼らの芸がどんな変遷をしたのかはわからない。
最初はコンビ名のように、TOKYOっぽいおしゃれでCOOLなお笑いを志向していたのかもしれない。
だが、過去がどうであろうと今やっているのはベタな芸。
それも小太りの、脂の乗り切ったおっさん二人。
それがいい。
円熟味を増した二人の芸は心地いい。
そんなTOKYO COOLが定期的に出演しているのが「ザ・ベストワン」の「ベストワンミニッツ」のコーナーである。
このコーナーもまた素晴らしい。
これから来るであろう若手のネタを一分で見せる。
そのコンセプト自体は同じく今田耕司がMCをしていた「爆笑レッドカーペット」に近いが、この番組は既に人気者になった芸人がネタをしっかりと披露する「ベストワンネタ」コーナーと、「ベストワンミニッツ」がニコイチになっている。
これにより、青田買いだけに振っているわけでもなく、また本コーナーで人気者がしっかりと笑いを取ってくれるので、少々クレイジーな芸人も放り込める。
しかもMCにいるのは、バラエティでの立ち回りではもはや無敵の今田耕司。
少々伝わりにくいネタでも、彼がしっかりと笑えるポイントを翻訳して伝えてくれるから安心。
(もちろん番組の顔としてどっしりと構えている笑福亭鶴瓶の度量もすごい)
TOKYO COOLも今田耕司による「どこがTOKYO COOL!?]というツッコミがあってこそ、より輝くのである。
個人的にはTOKYO COOLこそが、「ザ・ベストワン」が生み出した影のスターだと思っている。
東野幸治も今田耕司同様、もはやバラエティー番組では無敵である。
そんな彼が藤井隆と共にMCを務める「あらびき団」では、出てくるあらびき(=雑、未完成)な芸を披露する芸人達を解体し、批評し、見方を提示してくれる。
先日も「あらびき団」のオンラインイベントがあったが、東野幸治の芸人解体能力はまったく衰えていない。
かつて「Wコウジ」と呼ばれ、今も「やりすぎ都市伝説」などで定期的に共演している二人。
今田耕司が「ザ・ベストワン」というきらびやかなゴールデン番組でソツなくMCを務めながら芸人の味方を提示し、一方東野幸治は「あらびき団」というアングラな番組で喜々として芸人を解体していく。
まさに「Wコウジ」の陰と陽を象徴しているようで面白い。
ここで私は「IF]を想像してしまう。
もし、TOKYO COOLが「あらびき団」に出演したら、東野幸治はどのように彼らを解体して見せるのか。
今田耕司とはまったく別のアプローチで、TOKYO COOLというコンビの本質をえぐり出すのではないか、と考えるだけでわくわくしてしまうのである。
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