こんにちは!
今回は「プロフェッショナル 仕事の流儀 庵野秀明スペシャル」の感想です。
あの『エヴァンゲリオン』がついに完結する。番組は総監督・庵野秀明(60)に4年にわたって独占密着。これまで長期取材が決して許されなかった庵野の制作現場を、シリーズ完結編となる『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で初めて余すところなく記録した。巨匠・宮崎駿をして「庵野は血を流しながら映画を作る」と言わしめるその現場で一体何が起きていたのか?稀代のクリエイターの実像に迫る75分スペシャル。
https://www.nhk.jp/p/professional/ts/8X88ZVMGV5/episode/te/YV62MRRW35/ 2021/3/31閲覧
すごいドキュメンタリーでしたね。
密着期間4年。
それがたったの1時間15分。
まず思ったのは、もっと見たい!ということ。
1時間15分なんて短い短い!!!
「シン・エヴァンゲリオン 劇場版」の上映時間くらい(2時間半)ないと足りないですよ!!!
もっと見せて!!!(笑)
さて、内容の方の話をすると、とにかく「シン・エヴァ」は金に糸目をかけずにつくってるんだなあ、というのが第一印象。
一切の妥協というのを感じませんでしたね。
気に入らなければ作り直す。
妥協せずに「まだ見たことのないもの」を追い求め続ける庵野秀明という男。
そしてそれについていく優秀なスタッフの皆さん。
全編を通して「産みの苦しみ」「クリエイターの苦悩」というのが伝わってきましたね。
また非常に面白かったのが、庵野総監督はスタッフ達に方向性を示すことなく作業さえ続ける、ということ。
これは何度も彼が言っていた「自分でやってしまったら自分の中にあるものしか出てこない」という考え方によるものなんでしょうね。
アニメ監督である押井守さんも良く言っていることですが、アニメというのはすべてが作りもの、人の手によって人工的に作られたもの、です。
だからこそ完璧なものを追い求めることもできるわけですが、逆に言えば人の想像力のなかでしか創造できない、ということ。
さらに、もし一人の人間がトップとして君臨しすべてを統括すれば、自分色満載のものはできるとは思いますが、逆に言えば先ほども書いたように、自分の想像力の範囲内であるアニメしか作れない、ということでもあるのでしょう。
そして今回の「シン」と銘打たれたエヴァでは、それこそ「今まで見たことのない新しいもの」を作り出したかったのでしょう。
だからこそ今まで中枢にいたスタッフをあえて外し、様々な作業を他のスタッフに任せ、「自分の中にはないもの」を取り入れようとしたのでしょう。
しかしながら、天才・庵野秀明の求める水準に達するものはなかなか出てこない。
だから自分でやりたくなってしまう。
でも、自分が手を出してしまったら、それは「自分の想像の範囲内」のものになってしまう。
その結果の静観。
それゆえ遅々として進まない製作。
「Q」から9年はそれにしてもかかりすぎだとは思いますが(笑)、時間がかかってしまうのは納得の作りかたですね。
「シン・エヴァ」のメッセージの一つでもある「他人を信じよう」というのは、「シン・エヴァ」の制作現場で実際に行われていたことだったんですねえ。
そして時間がかかるというのは、お金がかかるということ。
その間も人件費はかかり続けるわけですからね(笑)
そういう意味では、今回の映像ではあまり描かれていませんでしたが、庵野秀明はカラーの社長でもあるわけですから、クリエイターとして妥協せずものづくりをしたいという気持ちと、経営者として「はやく作り上げたい」という葛藤もあったのかもしれませんね。
そんなこんなで非常に見ごたえのある密着映像でございました!!
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