こんにちは!
今回は井上雅彦著「空白」の感想です。
あらすじはこんな感じ↓
手放す、取り戻す__
手放す
「泥の中でもがいている」というような時期がたしかにあったんです。もしかしたら『バガボンド』の連載中はずっとそうだったのかもしれません。そんな時期が長くあって、今ちょっとそこから降りかけているというか、その状態を手放しつあるのかもしれません。
取り戻す
純粋に「モノを創る」ということ、マンガを描く無垢な楽しさを、僕はそろそろ思い出せそうな気がします。そういう無垢な、純粋な気持ちに従って作り上げていく作品の姿勢を、もう一度取り戻したい。
休載から再開に至る一年半、『バガボンド』はいかに描かれなかったか
井上雄彦の体調不良により休載が続いていた『バガボンド』が、2012年3月より「モーニング」誌上でついに連載を再開した。iPadアプリで描きツイッター上で公開する「smile」シリーズ、3.11東日本大震災発生、そして東本願寺の依頼で制作された屏風「親鸞」。世相が激変するなかで、しかし『バガボンド』は長い沈黙を保ち続けた__そのすべてのプロセスを、井上雄彦自身がはじめて語る。
井上雄彦さんと言えば「スラムダンク」「リアル」そして「バガボンド」などの代表作を持つ漫画家ですよね。
この本は彼がなぜ「バガボンド」を休載したのか、そしていかにして連載再開したのかということが書かれます。
まあ結局再開した後、また休載して今も再開してないんですけれどもね(笑)
で、なぜ休載しているのかというと、彼は「バガボンド」をもはや「商業漫画」としては描いていない、ということでしょうね。
「自分の内側が~」とか「精神性が~」とか「内圧が~」みたいな発言が頻出してましたし、彼自身が作品内のキャラクターと同化しているんでしょう。
で、最終的な悟りの境地に彼らは至るわけですが、今のような描き方をしている限り、作者である井上雅彦さんが悟りの境地に行けない限り、作品内で主人公が悟りを得た境地を書くことはできないでしょう。
それが彼の「バガボンド」との向き合い方ですからね。
でも、人間が悟るなんて、それこそ仏道にでも入らない限り無理なわけで。
ということは、今の描き方では「バガボンドは完結しない」と言えるでしょうね。
もしどうしても完結させるとしたら、主人公を変えて、悟った彼を観測するというやり方しかないでしょう。
しかし、「そんなやり方をするんだったら描かない」と井上先生は言うでしょう。
この本の中でも「漫画家で居続けることにこだわりはない」と言ってますしね。
つまり、どっちにしろ「バガボンドの完結は絶望的だ」ということがわかった本でした(笑)
関連記事はこちら↓